幸せ家族計画
まだ薄暗い部屋に目覚ましの音が響く。
大きくなったお腹が重たくて上手く身動きできない私は、手探りでそれを捜しだそうと手を伸ばした。
だけど、私がそれを見つけるより先に音は止まり、目を開けると優しい瞳でこっちを見ている達雄が見えた。
「おはよ。達雄」
「おはよう、アヤ」
彼は目覚めが良かったらしく、私の唇にキスをすると立ち上がった。
「待ってー。起こして」
「いいよ。綾乃は寝てても」
「イヤ、ご飯作るんだから」
「でも腹でかいから大変だろ?」
「でも私、達雄の奥さんだもん!」
順調だったはずの妊娠生活は、10月に入ってから切迫早産の診断を出されて、すっかり一変してしまった。
切迫早産というのは、簡単に言うとまだ生まれるには早い赤ちゃんが、生まれてしまう危険性が高い状態の事を言うらしい。
子宮頸管が短くなっていたことと、お腹が張りやすいことから自宅での安静を言い渡されてしまったのだ。
正直、その感覚も初めての事だからイマイチ分からなくて。
私は少し、無理をしてしまったんだろうと思う。