幸せ家族計画

 結局、達雄と話しあって、仕事は辞めることにした。

臨月に入るまで出勤するメドが立たないことと、産後、両親がいない私たちが働きながら子供を育てるのは難しいかもしれない、ということからだ。

 それから1ヶ月とちょっとが経ち、12月に入った今はもういつ赤ちゃんが生まれてもいい状態になっている。

お医者さまからも普通に動いて構わないと言われているのに、今だ達雄は私を安静扱いしようとしている。


「野菜をいっぱいとらないとな」


心配性の彼は、私のお腹が大きくなるにつれ家事にどんどん手を出し始め、今じゃいっぱしの母親みたいなことを呟いている。

元々達雄は家事全般をこなすから、私がいつお産で入院しても大丈夫なんだろうけど。
あまりにも仕事をとられると、手持無沙汰でつまらない。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


達雄が家を出て行くのを見送ってから、のんびりと洗濯を干し始める。
終わったらお掃除。

お腹が重たいから、何事もゆっくりになってしまう。

時折り、ポコンポコンとお腹が蹴られて、痛いけど嬉しいっていう変な気持ちになる。

お母さんになるんだなぁって思うと、とても不思議だ。

だって。
私は達雄に育てられたようなものなのに、彼の子供を産むなんて信じられない。


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