幸せ家族計画
「じゃあ、天涯孤独同士なんじゃないか。ダメだよ。何でも一人で決めちゃあ」
「でも」
「アンタに何かあったら、旦那さんは何もかも失くしちまうって事じゃないか。
旦那を大事に思うんなら、自分を大事にしないと。
違うかい?」
「……いいえ」
思わずしゅんとしてしまう。
確かに、私が逆の立場で、彼に何かあったとしたら耐えられない。
私たちホントにお互いしかないんだ。
作田さんは言い過ぎたと思ったのか、私の肩をポンと叩くと、先ほどより優しい声を出した。
「結婚して上手くやるには、甘え上手になることだよ」
「甘え上手……ですか?」
「そう。妻として張りきらなきゃって、何でも何でも自分でやると、ある日突然疲れちまうんだよ」
「はあ」
「最初は好きでやってるんだけどね。いつしか疲れが溜まっている。
そのうちに、どうして分かってくれないの、私はこんなに大変なのにって、そういう想いに囚われるんだ。
言ってないんだから分かる訳が無いんだけどね。
でもその時はそれが分からない。
そうして不仲になったりするもんだよ、夫婦って」
「……」