幸せ家族計画
それからしばらく経った後、診察を受けて分娩室へと入った。
立会出産を希望していた彼は、白衣を来て一緒に入り、ずっと私の手を握っていてくれた。
正直、それからは痛みに集中していてよく覚えてない。
自分の体から、もう一人の人間を生み出すのがこんなに大変だなんて思わなかった。
やっぱり何でも体験してみなきゃ分からないものだ。
「はい、もう産まれるからね。頑張れ」
お医者様の声に、精一杯にいきむ。
何かが抜けだして行く感覚と共に、強烈な痛みが薄れていく。
そして、同時に耳に届く産声。
「……オギャー!!」
元気なその声を聞いて、痛みを堪えていた時とは別の涙があふれ出した。
「アヤ、アヤ。やったぞ」
一瞬、手を緩めた達雄が、再び強く握ってくる。
潤んだ私の視界に移る彼の瞳も、やっぱり潤んでいて。
「よくやった。ありがとう、アヤ」
その言葉を聞いた時、ようやく自分が誇らしいって思えた。