幸せ家族計画

「はい、お父さん、男の子ですよ。抱っこしてあげてねー」


拭いてもらったわが子を、助産師さんから渡されて、慣れた様子で抱き上げる。


「俺の子かぁ……」

「嬉しい?」

「当たり前だろ? 俺とアヤの子。名前はあれでいいのか」

「うん」

「キズナ。……お前の名前は『絆』だぞ」

「オギャー」


小さな手を力いっぱい握りしめて、絆はその生命の力を声に乗せて放出する。


「私にも抱かせて」

「うん」


私の方が達雄よりおぼつかない手つきで抱きしめる。

思ったよりも柔らかくて、思ったよりも力強い。

赤ちゃんって、こんな風なんだ。


「可愛い」

「ああ、可愛いな」

「嬉しい……」


絶対に叶わないと思ってた恋が実ったあの時よりも嬉しいかも知れない。

私と彼のキズナ。
大切な存在がまた一つ増えた。


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