幸せ家族計画

その後、私は今日自分がお世話になった作田さんの話をした。

うんうん頷きながら、彼は私の額を撫でてくれる。

甘え上手になれているか、それは分からないけど。
少なくとも今の気持ちだけは、ちゃんと伝えよう。


「私、達雄が来てくれて、ホントに安心した。
赤ちゃんをいざ産むとなったらすごく不安になったもん。

私はこれからも迷惑かけるかも知れないけど。
ずっと傍に居てね? 私とキズナの傍に」

「それは、こっちからお願いしたいくらいだけどな」


そう言って、落とされたキスはご褒美のキスかな。


「ありがとうアヤ。今日は最高のプレゼントもらった」

「うん」

「あー退院してくるの楽しみだな。風呂の入れ方とか忘れちゃったなー。もう一度どこかで習わないとな」

「習うってどこで」

「あと、役所も行かなきゃな。出生届け。ああ忙しいな、大変だ」


言葉とは裏腹に顔はニコニコして、手帳にメモをし始める。

本当にもうこの人は、なんでこう私の胸をくすぐるんだろう。


長時間の出産の疲れからか、何だか眠気が襲ってくる。


「頑張ってね、パパ」


小さくつぶやいて目を閉じた。

次にキズナが泣きだすまでの間、少しだけ、休憩するとしよう。




【fin.】




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