幸せ家族計画


「……では明日、よろしくお願いします、と」


独り言と共に、メールを一本送信して仕事を終える。


「お先に失礼します。お疲れさま」

「お疲れ様です」


まだ残ってる同僚に声をかけて会社を飛び出す。

でも実際、達雄の話は人ごとではないのだ。
俺の子が生まれるのだってあと一ヶ月以内ってところまで来ている。

こうして見ると、いつ休んでも他の人が動けるように仕事の状況をファイルにでもまとめておくといいのかもしれない。




 急いで電車に乗り込み家へと向かう。

遅くなっても紗彩は待ってるだろう。
妊婦なんだからそのあたり気にしないで寝てくれるといいんだが、変なところは真面目だからな。


「お帰りなさい」


大きなお腹を抱えるようにして笑顔で迎えてくれる。


「ただいま」


その唇に軽いキス。
予想外の行動だったらしく、紗彩は目を丸くしたまま立ちすくんでいる。
その脇を通りぬけて靴を脱いだ。


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