幸せ家族計画

 病室の扉をようやく開けると、迎えてくれるのは心配顔の紗彩の両親と、親父。

親父は、何してたんだって顔でこっちを睨んでいる。
さすがに待たせすぎたか。

まあ俺が悪いので、とりあえずは頭を下げよう。


「すいません、遅くなって」

「トイレ行ってたの!」


咄嗟にサユが割って入ってくれる。
言い訳まで考えてくれるなんてホント出来た娘だ。


「あの、紗彩は」

「まだ起きないのよ。痛がったらしくて、最後に強めの麻酔をいれたんですって。
もう遅いから、どうしようかって言ってたところ」

「俺は、紗彩が目を覚ますまではついていようと思います」

「わたしも!」

「英治さんはいいだろうけど。サユは明日学校だろう? おばあちゃんと一緒に帰ろうか?」

「イヤ。わたしもここにいる」


俺にひっついて離れそうにないサユの頭を撫でて苦笑する。


「……いいよ。ここにいな。寝たら俺がちゃんと連れて行ってやるから。
サユの事は大丈夫です。お義父さんたちは……」

「英治くんが居るなら、大丈夫そうだから帰るよ」


そう、ニヤッと笑うのは親父さん。
紗彩は彼の事を厳格で苦手だと言うけれど、俺はそれほど苦手でもない。

ある程度の筋を通せば、人を信用して任せてくれるくらいの懐の広さを持った人だと思う。

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