幸せ家族計画


「よしよし。キズナぐっすり寝ろよ?」


そう言って優しく揺すってあげる。


いいなぁ。
私も達雄に抱っこされたい。

あなたの声を耳元で聞いて眠りたい。

でも、今はダメだ。
お仕事は車で外回りが多いんだし、寝不足だと運転が危ない。

私が何より怖いのは、彼を失うことだ。


「達雄、大丈夫だから、寝て? 私ちゃんと寝かすから」

「大丈夫。寝そうだ。ベッドに寝かすぞ?」

「……うん」


寝かせるのも上手。

私だと、いつもベッドに置いた途端に起きられて泣きそうになるのに。

キズナは握りこぶしを上に向けてすやすやと眠る。

悔しい。
私なんていつも一時間以上かけてようやく寝かすのに。
達雄だとすぐなんだ。


「アヤ。俺もこっちで寝ていい?」

「……ダメ! 達雄はぐっすり寝るためにあっちで寝て!」


背中を押して、追いだす。
だって寂しくて悔しくてきっと変な顔してる。

こんな顔見られて嫌われたら嫌だ。


「アヤ……」


寂しそうな声に後ろ髪は引かれるけど、でも駄目。

こんなぐちゃぐちゃな顔は見せられない。

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