幸せ家族計画


「変わるよ。飯作りとかあるだろ? それとも俺が作ろうか?」

「ううん。私が作る。じゃあ、お願い」


ホッとして、キズナを彼に渡す。
彼の大きな手は、がっちりとキズナを掴んでいて安定感がある。

すぐに「げほっ」というげっぷの音がでて、キズナはご機嫌そうに笑った。

いいなあ。
何で達雄はあんなに上手なんだろう。

キズナが笑うと、彼も嬉しそうに笑う。

いいなぁ、キズナ。
私もあんな風に一緒に笑いたい。


子育てって、楽しいことも感動も一杯あるけど、辛いこともある。

中々寝てくれなかったりすると、私ってダメだなって思ったりするし。
イライラして怒っちゃって後悔することもたくさん。

怒ったって、赤ちゃんのキズナに分かる訳ないのに。

こんなに心が狭くなってる自分を達雄に見られるのも嫌だ。


「じゃあ、行ってきます。アヤ、無理しないで休める時休めよ?」


心配そうな顔。
大丈夫だもん。

半ば意地になって、追いだすように彼を見送った。

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