幸せ家族計画


 午前中ぐっすりと寝たキズナは、午後になると元気を取り戻したかのように泣きだした。


「よしよし、泣かないでよう、キズナ」


立ったまま抱っこして揺らす。
すると一瞬機嫌が戻るんだけど、またすぐ泣きだしちゃう。

おむつは替えた。おっぱいもあげた。
後は何?


「キズナってば」


こっちが泣きたい。
あなたが寝てる間、私は家の事やってたんだからね。
全然休んでないんだから。


 すると、玄関の呼び鈴が鳴る。
誰だろう。昼間訪ねてくる人なんて珍しいけど。


「はーい」


泣いているキズナを抱っこしたまま玄関に行って小窓から眺める。

作田さんだ。

今住んでいるアパートの1階に住んでいる年配の奥さんで、キズナを出産する時に色々助けてくれた人だ。
お母さんみたいで、すごく話しやすい人。


「作田さぁん」


私は半泣きでドアを開けた。
作田さんはパチクリと目を開けて、私を見ると笑いだした。

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