幸せ家族計画
「呼んで」
「や……、あん。た、たつ、お」
「ちゃんと」
「お兄ちゃん、くすぐったい―!!」
「あ、また」
そう言われても、くすぐった過ぎて頭が回らない。
無意識に呼んじゃうのは呼びなれた『お兄ちゃん』の方に決まってる。
これじゃいつまでたってもやめてもらえない。
「や、もう、止めてってば」
「……ちぇ」
少しの苛立ちを込めて涙目でそう言うと、彼は子供みたいに拗ねた声を出し、動きを止めた。
私は、乱れた呼吸を整えて、彼を下からじっと見つめた。
意地悪に笑っていた彼の顔から、徐々に毒気が抜けてくる。