幸せ家族計画

でも作田さんはけろりとした顔で、私の前に座った。


「アンタがそう思ってるから、キズナちゃんは泣くんじゃないの?」

「え?」

「赤ん坊って敏感なんだよ? 一人の時に自分はダメだとか思って落ち込んでるから、だから泣くんじゃない?」

「……」


作田さんは、立ち上がると勝手にキッチンに向かう。

そう言えばお茶入れてなかったなって思って慌てて後をついて行くと手で制止される。


「お茶、勝手にいれるよ。良いからアンタは少し休みなさい。
少しね、気を抜いた方がいいよ」

「でも」

「他の誰かが見てる時、キズナちゃんがあんまり泣かないのは、アンタが安心してるからさ。
だってアンタ、ドア開けた瞬間ホッとしたような顔してたよ?」

「そ、そうですか?」

「旦那がいる時もそうなんだろ?」

「……そうかも」


そうかも知れない。
自分一人だと、自分が頑張らなきゃって思って。

達雄が帰ってくるとホッとする。
でも、対抗心みたいなのも湧いてはくるんだけど。

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