幸せ家族計画
「俺今日、昼【shion】で食ったんだよ。そしたら、そこに可愛い猫がいたんだ」
「猫?」
そんな話?
大事な話かと思って緊張したのに。
「ああ。黒猫なんだけどさ、声が凄く可愛かった。アヤ、猫好きじゃなかったっけ」
「うん好き!」
可愛い黒ネコちゃんを想像すると、思わず笑顔になる。
そうだ。昔猫が飼いたいって達雄にねだったときもあったっけ。
色々大変だから、結局はダメって言われたけど。
実は気にしていたのかしら。
達雄は私をまじまじと見て、ゆっくりと口元を緩ませた。
そして彼の手が私の頭に伸びて、強く引き寄せられた。
「え?」
「もう」
達雄の腕の中は彼の匂いで一杯。
ああ、こういうの、久しぶりかもしれない。
「もう俺、限界」
「達雄?」
「腹よりも、心が限界」
「……」