幸せ家族計画
「アヤ。……抱いていい?」
「た、達雄」
「俺が自分でできる事は何でもする。キズナの世話もいくらでも代わる。
でも、アヤに触れられないのはキツイ。夜も一緒に寝たい。起こされたって別にいいんだ。
綾乃の体温がないと落ち着かないんだよ……」
そこまで一気に言ったかと思うと、抱きしめられたまま居間に連れて来られ、座布団の上に下ろされる。
「……ダメか?」
「う、ううん」
降りきれそうな勢いで首を振る。
すると彼は安心したように、唇を重ねてきた。
「昔は触れなくても我慢できたのになぁ」
「え、あ、……んっ」
エプロンの結び目が解かれて、手早く奪い取られる。
それを目隠しみたいに顔の上に乗せられて、もがいているうちにリビングの電気が消えた。
最初はゆっくり唇を貪っていた彼が、やがて体中を撫で始める。
テレビの音だけが響く室内で、小さく漏れだす私の吐息。
彼の筋肉質の腕が私を包む。
キズナを抱くより、ずっと強く。
大きな声を出したら、起きちゃうんじゃないかと思って、私は必死に声を噛み殺していた。
でも、彼の肌が直に触れた時、自分も不思議と安心した。
そうだ。
私だって、このぬくもりが欲しかったんだ。