幸せ家族計画
曖昧な意識の中に、小さく声が響きだす。ホギャア、ホギャアって。
これって……キズナの泣き声?
「……泣いてるな」
先に動いたのは達雄。
彼は手早くシャツとズボンを着て、私に自分の上着をかぶせると隣室で寝ているキズナの元に向かった。
私がようやく体を起こして着替えていると、キズナを抱えた彼が戻ってくる。
「おむつ替えたらご機嫌になったぞ。さあ、飯食うか。
キズナもここにいようか」
そう言って、キズナを座布団の上に寝かせてキッチンへ立つ。
仕事帰りで疲れているはずなのに、彼の動きは軽やかだ。
「ま、待って。私がやる」
「いいよ。俺今かなり満たされてっから。いくらでも動けそう。アヤこそ、俺がいる時くらい休みな」
「……達雄」
作田さんの言う通り、意地を張るより甘える方が、彼は喜んでくれるみたい。
私は自然に顔が緩んできて、達雄に見られるのは恥ずかしいから、キズナの方を向いた。