幸せ家族計画
「あー、だー、はは」
「え?」
目の前のキズナは、私をじっと見ながら笑ってる。
小さく声を立てて、嬉しそうに。
「達雄! キズナ笑ってる」
「え?」
「ほら」
ニコニコと満面の笑みを張りつけて、拳をぶんぶん振りまわす。
ものすごくご機嫌だ。
「か、可愛い……」
「……ホントだな。今の綾乃には、猫より効果ありそうだ」
「え?」
そういう彼はキズナではなく私を見つめていて。
その満足そうな顔に、図々しい事を思いつく。
もしかして、
達雄には、私の笑顔の方が効果あるのかな、なんて。
さすがに口には出せないけどね。
【fin.】