幸せ家族計画


「俺は過去にはあんまり興味がないんだ。終わったことはもういい。母さんの話、今後の役に立ちそうだから助かったよ。ありがとう」

『……っ、いいえ。こっちこそ。……ありがとう』


電波の向こうから聞こえる嗚咽を、最後まで聞いてやるのが優しさなのかも知れないけど。
母親の泣き声ってのは、聞いていて楽しいもんじゃない。

気づかないふりをして明るく声をかけた。


「いつか遊びにこれば?」

『え?』

「彩治を見に。泊まる部屋くらいはあるけど」

『……いいの?』

「いつでも」

『ありがとう』


声にやっと明るさが戻り、俺はほっとする。

今更謝られるくらいなら幸せそうに笑ってて欲しいって思うのは、俺も幸せになったから言えることなのかもしれない。



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