幸せ家族計画
電話を切り和室に再び戻ると、彩治は布団の上に転がり、紗彩は左手にガラガラ、右手にカメラを持っていた。
「何してんだ」
「え? せっかくだからこのお洋服着せて写真とろうかと思って。そうだ。英治くんが抱っこしてよ」
「いや、俺は良いよ」
「だって、お義母さんに送るのよ?」
「俺の顔なんて見たくないよ、きっと」
そう言うと、紗彩の顔が悲しそうにゆがむ。
うわ、その顔はやめて欲しい。反則だ。
「そんなことないわ。見たいわよ、きっと」
「わかった。そうだな。頼むからそうやって責めるような目で見るのは止めてくれ」
「責めてる訳じゃないわよ」
ケンカみたいになっていくのがイヤで、紗彩を手招きで呼ぶ。
おずおずと傍に来る彼女を抱きしめて、目元にキスをした。
「……子供の前でやめて」
「赤ん坊が見て何が分かるよ」
「だって」
何度かキスをしていると、やがて反論の声も小さくなる。
紗彩の、こういうところが堪らない。