幸せ家族計画


「……紗彩とサユも一緒なら、撮ってもいい」

「え?」

「家族写真なら」


それが最大限の譲歩だ。


「……分かった。じゃあサユが帰ってきてからね」

「じゃあそれまで、ちょっとこうしてよう?」


布団の上で、ご機嫌な声を上げる彩治の傍で、紗彩を柔らかく抱きしめる。


「……電話、疲れた」

「そうなの? お疲れ様」

「泣かせそうで怖い」


小さな本音に、紗彩が頭を撫でてくれる。

それに癒されつつも、ハタと気づく。
おいおい、俺まで甘えてどうすんだ。




 そこで、甘い空気を吹き飛ばすような赤子の鳴き声。


「ふぎゃあ、ふぎゃあ」

「うわー、ここで泣くかー」

「さっきおっぱいあげたばかりなのに。オムツかなー」


すかさず手を伸ばす紗彩の腕を掴んで止める。


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