幸せ家族計画
綾乃がキズナのオムツやら着替えやらをカバンに入れている間に、俺は近くに公園がありそうな郊外のショッピングモールをネットで調べる。
赤ん坊連れの行動は何かと大変で、出来ればちゃんと施設が整っている方がありがたい。
「キズナの用意だけじゃなく、自分もおしゃれしろよー」
「え?」
「少し気分上げないと綾乃が参っちゃうぞ」
「……うん!」
嬉しそうに笑われるのはこっちも嬉しい。
綾乃が身支度に時間をかけている間、俺はハイハイで狭い部屋中を闊歩するキズナの後を着いて回った。
昨年買った新車は濃紺のワンボックスカー。3人なら余裕のはずなのだが、チャイルドシートが場所をとるためかこれでも狭く感じるときがある。
「うわああん」
キズナはチャイルドシートも嫌いだ。ベルトを肩にかけられた途端にぐずり始める。
「キズナ、泣かないで」
「多分走ってるうちに寝るよ。少し泣かせておけよ」
「でも」
「大丈夫、赤ん坊なんて泣くのが仕事だ」