幸せ家族計画
「英治くんが慌てて。サユを抱っこしてようやく大人しくなったけどね」
ママのクスクス笑いは続く。
それも言わないでってば。
小学生になったんだから、抱っこされてうれしいなんて、恥ずかしいからばらされたくないのに。
「あの二人、すっかり仲良しでね。ふふ」
ああでも、この声は好き。
くすぐったいような、ママの笑い声。
「……ごめんね、ユウ」
笑い声がおさまって、何だか急に声が小さくなる。
わたしの胸がキュッてつかまれたみたいになった。
あれ、ママ。
さっきまで笑ってたのに。
どうして?
「サユ、あなたの事忘れてないからね」
小さな小さなママの声が、どんどん寂しそうになっていく。
この声はちょっとキライ。
だってサユまで、寂しくなるんだもん。
パパだって、きっとキライだよね?