幸せ家族計画
春は別れと出会いの季節。
と言っても社会人である私にはそれほど大きな変化はないけれど、娘の紗優にとっては違う。
春から小学2年生。
お姉さんになった気分なのか、得意気に胸を張って家を出て行った。
「サトルくん、いなかった」
なのに今、紗優はしょげた顔で夕食のハンバーグを箸でつついている。
お行儀悪いと叱りたいところだけど、この表情を放っておくわけにもいかない。
「サトルくんとは学区がちがうのよ」
「学区って?」
「ほら、同じ保育園の子でも違う学校に行った子いたでしょう? おうちの場所がちょっと遠いの」
「えーそうなの? なんだ、そうかぁ」
溜息を一つついて、気を取り直したように紗優は、ハンバーグを口に入れる。