幸せ家族計画


 一時間ほど走って墓地につく。
近くに鉄道が走っていて、いつも電車の音が響いている。
この音を聞くと、なんとなく懐かしい気分になるな。

バケツに水を汲み、墓石を拭く。
綾乃も手伝おうとするけど、目を覚ましたキズナが泣き出し、そちらにかかりきりになる。

掃除するだけでもこんなに時間がかかる。
子連れってのはホント大変だ。



 やがてすっかり綺麗になった墓に、花と線香を手向けた。


「キレーになったね。お父さん、お母さん」

「ああ。そうだな」


キズナを綾乃から受け取り、手を合わせる綾乃をじっと見る。


親父、おふくろ。
俺たちの息子だよ。
2人とも、おじいちゃんとおばあちゃんになったんだぜ?


心の中でそう呟く。


人間には2種類のタイプがあると思う。
どこまでも自分らしく強く生きていく人間と誰かを守ることで強くなれる人間。

俺は間違いなく後者だ。

俺に、綾乃と出会わせてくれて感謝してる。
お陰で、守るべき人間も増えた。

俺は多分、これから強くなっていけるんだろう。


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