幸せ家族計画
サトルくんは、紗優が保育園の時に仲良しだった一つ年下の男の子。
お別れする時に、「また遊ぼうね」ってサトルくんのお母さんの携帯の番号は聞いたけれど、去年は結婚や引っ越しでバタバタして一度もかけれなかった。
今更かけづらいってのもあるけど、紗優が望むならかけてみようかしら。
紗優の顔を覗きこむと、頬張りながら上目づかいで私を見て、不思議そうに首をかしげる。
「何? ママ」
「サトルくんに会いたい? 電話してみようか?」
「え? 出来るの?」
「うん。でも、都合が合うかは分からないよ?」
「うん、会いたい!」
「今ならいるかしらね。夕食時だもの。……ちょっとごめんね」
英治くんに紗優を任せて、静かなリビングへ行って電話をかける。
1年ぶりでいきなり電話をかけるなんて、何だか気が引けちゃうけど。
紗優の為だから頑張ろう。
初めてのデートのお誘いみたいに、心臓がドキドキする。
もう、相手は女の人なのに。