幸せ家族計画
「あれ、紗優、彩治、何してるの?
ねぇ、今エレベーターのところでサトルくんとすれ違ったよ。
今日、サトルくんも来てたの? あの子随分大きくなって、すっかり逞しくなったのねぇ」
「……」
なんでか、私の顔がどんどん熱くなってくる。
私が褒められた訳でもないのに。なんで?
「……紗優? あら、もしかして」
お母さんの含み笑いが嫌な感じ。
もう早く話を変えちゃおう。
「え? 何? あああ、何でもないよ。それより、私の作文持ちださないでってお父さんに言っておいて!」
「あはは。見つけちゃった?
それは自分で言いなさい。お父さんは紗優に構われたいんだから」
「何それ」
「彩治もよね。二人して、紗優に構ってほしくて駄々こねちゃって」
「なー! 違う。俺そんなんじゃないもん」
顔を真っ赤にして怒るサイちゃんは、何だかちょっと可愛い。
「ホント? サイちゃん」
「ちっがーう! もう抱きつくなよ!」
嬉しくなって後ろから抱きついたら、逃げられちゃった。
ちぇ、小学生になってから逃げ足早いんだから。