幸せ家族計画
電話は、5コール目でつながった。
『もしもし?』
低めの声。
あら、もしかして機嫌悪い?
「ご無沙汰してます。はや……じゃなくって横山紗優の母です。覚えていらっしゃいますか?」
『ああ! お久しぶり。ごめんなさいねー。ちょっと聞きづらくないかしら。大きな声出せないのよ』
「大丈夫ですか?」
『今、病院なの。実はね、二人目の子を妊娠したんだけど、切迫早産になっちゃって』
「え?」
『臨月になるまで入院ですって。参っちゃったわ』
「そうなんですか。ごめんなさい、知らなくて」
『いいのよー。でも、もしかしたらサユちゃん、サトルと遊びたいって言ってた?』
サトルくんのお母さんは屈託なく言う。
だけど、そんな大変な状況の時に、こんなお願いが出来る訳もない。