幸せ家族計画


「……だって。私勉強ばっかりしてたから学生の時なんてモテなかったもん」


さぞ呆れた顔してるだろうと、英治くんを盗み見ると、
彼は何故だか八の字に眉を寄せていた。

それが、悲しそうに見えて心臓が大きく一つ跳ねる。


「え、英治くん?」

「そうか……」


続きを聞く前に、キッチンの扉が大きく開く。


「ママ、お風呂上がったよう」

「紗優」

「あ、サユ、さっぱりしたか?」

「うん。おとうさんも入ればー?」


彼は一度私の顔を見てぎこちない笑顔を作ると、紗優の方に向き直った。


「ああ、そうするよ。サユもちゃんと髪乾かせよ」

「うん!」

「風呂、行くな」

「う、うん」


なんだか、空気が変わった。

ついさっきまであんなにくだけて話していたのに。
どうして?

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