幸せ家族計画
「おとうさん、おやすみなさーい」
髪を乾かした紗優が、バスルームの扉の前から彼に挨拶をする。
「お休み。ゆっくり寝ろよー」
シャワーの音とともに返ってくる返事もいつもと一緒。
気にしすぎかしら。
そうよね。
元々彼から言いだした話だし。
気にすること、無いよね?
寝る時に一人なのは寂しがるので、いつも紗優の部屋に行って眠るまで一緒にいる。
もちろん、仕事で遅い日は無理だけれど、
以前と違ってもうそれほど遅い残業は無いから、大抵はこうして紗優が眠りにつくのを眺めていられる。
ユウに似た、太めの眉毛。
寝顔なんかはそっくりだ。
あんな話しちゃったからかな。
何だかユウのこと、ものすごく思い出す。
二人目作ろうかって言ってた頃に、死んじゃった彼。
あれからもう5年も経つ。
紗優ももう7歳。夏には8歳になっちゃう。
今からじゃもう、歳も離れすぎちゃうのかな。