幸せ家族計画
「経験ないから、オタオタしてたし。あの頃の私だったら、あなたのこともきっと軽い男の人だって思ったかも」
「……ぷっ」
「ふふ。恋愛って、タイミングよね」
「そうだな。確かに。今のタイミングじゃなきゃ駄目だったんだよな」
英治くんに笑顔が戻って、胸に安堵が広がる。
「英治くんが好きよ?」
「俺も」
普段は言わない愛の言葉が、するりと口から滑りだす。
少しの嫉妬が、愛情を再確認させてくれることもあるんだなぁ、なんてこっそりと思った。
「紗彩、風呂は?」
「うん、入ろうかな」
「先に一汗かく?」
にやりと笑う彼を、赤くなりつつ見つめると。
返答を聞く気がない唇が、私の唇の自由を奪っていく。
まだ乾き切らない彼の髪の毛が、私の瞼に落ちてきた。