幸せ家族計画

「いらっしゃいませ、葉山さん」

「ああ、倉崎さん。いつものくれる?」

「はい」


達雄の方を見れば、相変わらずのウーロン茶。
バーに来てこれは無いだろうっていつも思うのだが。
よっぽど自分の酒癖に辟易してるんだろうか。


「達雄、車?」

「ああ。悪かったな急に呼び出して」


お決まりのあいさつに悪乗りする。


「何の用だ? 俺、今日は早く帰ろうと思ってたのに」


すると達雄は本気に思ったのか、焦ったように顔を上げる。
これが楽しくてついついからかっちゃうんだよな。


「悪い。紗彩怒ったか?」

「いや? 紗彩は自分も仕事してるから、付き合いには理解ある。
でも俺、サユが寝る前には帰りたかったのに」

「あっそう」


俺たちの会話も変わったよなぁと思う。

以前は、達雄は妹への煮え切らない愛情を愚痴愚痴言ってて、
俺はそれを聞いたり、達雄の別れた女に手を出したりなんて事を繰り返してたって言うのに。

やっぱり紗彩と出会ってからなんだよな。
何かが変わったのは。

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