幸せ家族計画
「おい、話がずれてるぞ。お前の話はどうなった?」
とりあえず軌道修正すると、皆の視線が達雄に集まった。
「ああ。でさ、『なんか変わったことあったか?』って聞いても『別に』としか返ってこないし。
『明らかにおかしいだろ』って言っても『気にしないで』とか言われて。
何だか俺もちょっと苛々して、つい、昨晩『今日はメシいらない』って言っちゃって」
「ふうん」
「綾乃今日は休みだって言ってたから文句の一つも言われると思ったのに」
「うん」
「『分かった。じゃあ、ゆっくりしてきて』とか言われちまったらもう……」
「……それ、ケンカに入るのか?」
バカらしい。
ただの惚気かよ。
呆れて目の前のウィスキーのグラスを傾ける。
しかし、ウーロン茶を前に愚痴愚痴語っているこの男は至って真面目なようだ。