幸せ家族計画
「好きって言ってるのに」
「アヤ?」
「そんな不安そうにみられるのイヤ」
「……」
「ちゃんと私の事信じて」
驚く彼の唇に、自分からキスをした。
不安は、伝染するからイヤだ。
私の紗彩さんへの小さな嫉妬が、彼の不安をかきたてたんだ。
自分から呼びこんだものだから、自分から消してしまいたい。
だけど、その消し方が分からない。
「アヤ」
彼は私のキスに応えるように、何度か角度を変えて唇を重ねる。
手が腰にまわり、彼との間に隙間が無くなる。
深いキスに変わった瞬間に、崩れそうになった体を、ゆっくりとベッドにおとされた。
明るい部屋の中で、私の上に影が落ちる。
部屋の電気は、彼の体で見えない。
私の眼に映るのは、今だ切なそうな顔を浮かべる達雄の顔だけ。