幸せ家族計画

紗彩さんが羨ましい。

彼に絶対的に信用されている彼女が。

『絶対に自分を好きにはならない』と
二人が恋人関係にあった時さえ信じられるほどなんだもの。

友人関係になった今もきっとその信頼度は変わってないだろう。

達雄は紗彩さんの前で、きっと安心しきった自分を見せれるんだ。


だけど私に対しては、違う。

大事にされてるけど、いつもどこか不安定で。

私はそれが、怖くて堪らない。


顔の両側に伸びている彼の腕を触ると、その上からキスをされた。

そのまま、頬に額にと落ちてくる唇は、私と目があったことで一瞬止まる。


「ごめんな。不安にさせて」


小さな呟きに、首を振る事で返事をする。

彼は少しだけ笑って、唇にキスをする。
それを受け止めながら、彼の首の後ろに手をまわして引き寄せる。

すると彼は一つ息を吐き出して、

ゆっくりと私の体中に唇を這わせ始める。

< 93 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop