幸せ家族計画
思い返しているうちに、自然に私の口元には笑みが浮かんでいた。
嬉しいのに不安。
安定感がないな、と思う。
検査薬の空箱もゴミ箱に入れ、
戸棚がわりにしている押し入れの中のカラーボックスから、ハガキをまとめたファイルをとりだす。
「確か、ここにあったはず」
数ページめくると、落ち着いた微笑みの男の人と嬉しそうな紗彩さん、そしてにこにこのサユちゃんがうつっているハガキを見つける。
前に、達雄宛に来た転居通知のハガキだ。
私はそれをとりだして、住所を確認する。
そして迷いながらも、外出する準備をした。
ここに行って、私は何をするつもり何だろう。
自分でも分からない。
だけど、紗彩さんの意見を聞いてみたかった。
彼の信頼する、紗彩さん。
彼女だったら何て言うんだろう。
家の鍵を回す音が胸に刻まれる。
後戻りはできない。
答えを捜しに行かなくちゃ。
ゆっくり歩きながら、道を走るタクシーを捜した。
【fin.】