魔天戦史
「そこを何とか…何なら地理に詳しい人間を一人だけでも…」

「…仕方ありませんな。私が参ります。」

「は…?い、いえ、ですが…」

しかし八洲という男は掛けてあったコートをもう着ている。

「言ったでしょう。人員が割けないと…なら私が行くしか無いでしょう。」

男はどこかに電話をかけている。

「俺だ。少し出て来るから、後頼んだ。」

八洲はそれだけ言って電話を切った。

「私なら地理に詳しいしいざとなれば戦える。何か不服がありますか?」

「…いえ。日本有数の武闘派プレイヤーとして名を馳せた八洲忠之様となら心強いですよ。よろしくお願いします。」

「えぇ。では行きましょうか。」

三人は部屋を出て別の部屋に向かった。中には慌ただしく動いている刑事達がいた。

「おい!木田!いねぇのか!」

八洲がそう呼ぶと刑事が一人三人のとこに来た。

「何ですか、課長?」

「転送装置を準備しろ。」

「転送先は?」

「富士山支部だ。」

「分かりました。じゃあ、装置に入ってて下さい。」

三人は隣りの部屋の床の円形の装置の上に乗った。少ししてさっきの男がモニター越しに声をかけた。

「準備、出来ました。」
「よし、飛ばせ。」

八洲がそう言うと床の円形の装置が淡い光を放ち始めた。

「転送先は富士山支部でいいんですね?」

「あぁ。」

「じゃ、転送しますよ。」

すると床の円形の装置が更に激しい光を放ち始めた。視界が白一色に染まって、光が収まるとさっきと同じ様な部屋だった。

「…えっと…」

「さ、行こう。」

「あ、はい。」

部屋を出るとそこはさっきの廊下とは全く違う廊下だった。三人は隣りの部屋に入った。中には変わらず慌ただしく動いている刑事達がいた。

「…はは…」

勇翔は思わず苦笑いをしてしまった。
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