魔天戦史
レオンも気掛かりがある様だ。

「…やはり、仕掛けて来るじゃろうな…恐らくここが戦場になる。今は若者達にも戦って貰うことになるじゃろうな…」

「…出来れば、見たくない光景ですね…」

「あぁ…子供が戦場で武器を振るうなど…そうさせないために、儂らがおるのじゃがのぉ…」

「…不甲斐ないものだな…私達は…」

緋凰が呟いたその一言で部屋の空気が重くなった。最初に切り出したのは八洲だった。

「そういえば、あの坂原勇翔という少年のことですが…」

「あぁ、どうじゃ。お主の眼で見て…」

「…ハッキリ言って、驚きましたね。まさかあそこまで天盤を使いこなして見せるとは…まだ、弐式までしか使えない様ですが、いずれは天盤を完全に使いこなせる様になるでしょうね。」

「ほう、それはそれは…お主にそこまで言わせるとはのぉ…」

「えぇ。ひょっとすると…パラディンの称号を授与されるかも知れませんね…」

「パラディン、ですか…」

レオンが呟いた。

「あぁ。そうなれば、君が指導した方が良いかも知れないな。」

「いえ、私は…あまり人の指導は得意では無いので…」

「はは、名高き最年少パラディンも子供の指導は苦手かね。まぁ、彼は恵まれた環境におるからの。心配無いじゃろう。それより、もっと重要な話があってのぉ…」

「もったいぶらずに早く言え。」

「…今の大元帥は、信用ならん…」

「…拾蔵様…その様なこと…!?」

レオンは慌てている。
「何、気にするでない。今この場にいる正規の軍人はレオンと緋凰だけじゃ。お主等も、今の大元帥を信用しきっておる訳ではあるまい?」

「「…しかし、いくら何でも…」

「…とにかく、今から話すことは儂の憶測じゃよ。」

そう言って拾蔵は自分の考えを話し始めた。
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