魔天戦史
足場を失った京介は強烈なその一撃を耐えることが出来なかった。吹き飛ばされた京介は立ち上がるのが精一杯だった。

「ぐ…!?」

立ち上がった京介は左腕に激痛を感じた。

「…どうやら、折れた様じゃな。」

「…えぇ…まさか拳術まで会得なさっているとは…」

「…仕方ない。少しばかりヒントをやろうかのぉ。」

「ヒント…?」

「グングニルの真の力を会得するには、まずはルーンの秘法を覚えなければならん。」

「ルーンの秘法…?」

「オーディンが自分の体を生け贄に捧げて会得したものじゃ。24文字一つ一つに意味があり、それを組み合わせることであらゆる奇跡を可能にする。」

「それとグングニルとに、何の関係が…」

「グングニルの力はそのルーンの秘法で封印されているのじゃ。その封印を解除せねば、グングニルの真の力は引き出せん。」

「…そうですか…」

「…本気で来い、京介。でなければお前は何一つ守れずに屍をさらすことになるのじゃからな。」

「…分かっています…」
京介は左腕に意識を集中した。

「…何か、掴んだ様じゃな。」

京介の左腕がうっすらと光を放っている。拾蔵は刀の構えを解いて成り行きを見守った。
「…ルーン…」

京介は自分の心の中に意識を沈めて行った。着いた場所は、巨大な樹が生えた森だった。その樹はどこまで見上げても幹しか見えない程巨大だった。するとそこに誰かがやって来た。

「…オーディン…」

京介にはそれが誰だか振り返らなくとも分かった。振り返るとそこにはやはりオーディンがいた。

「…ルーンの秘法を学びに来たか…」

「あぁ。教えてくれ、オーディン。」

「…京介、お前はこの樹が何だか分かるか…?」

「…いや…」
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