魔天戦史
「四・八事件……犯人不明のまま解決されなかったとされる、あの……確か犯人は、反国連勢力の工作員だろうとされて、捜査が打ち切られたと聞いていますが……」
「……工作員か…確かに、あながち間違いでも無い………だが、当たってもいないな。あの事件の黒幕は、第零師団の人間だった……」
「そんな……大元帥の勅命で動く第零師団の人間が、裏切ったのですか…?」
「あぁ……そいつは、統合軍の秘密資料を手土産に、反国連勢力に取り入ろうとしていたらしい。その為に門を暴走させて本部を混乱させて、その隙に反国連勢力の人間と落ち合うつもりだった様だ。だが、結局は私の指揮した部隊に追撃命令が出され、私がそいつを捕えたがな……その功績によって、私は元帥に昇格したのだ」
「……そうだったんですか………それが、堂絃が言っていたことなんですか?」
「あぁ、恐らくな……だが、どうにも腑に落ちない………」
「何か、気になることでも?」
「堂絃は、自分達が何者に仕えているのかも知らずに………と言っていた………我々が仕える方…つまり、大元帥だ……」
「………大元帥様が、何者か……ということなのでしょうか……」
「確かに、今の大元帥の素性を知る人間は、統合軍にはいない……だが、例え大元帥が何者であろうと、我々は大元帥の意思の下に統率され、行動する。そこに疑念の入る余地などない」
「……勿論です。我々は、大元帥の意思に従い、世界の均衡を守る為にあるのですから……」