魔天戦史
「裁きの光の洗礼を受けよ!シャイニング・ジャッジメント!」

学園長は杖を振り上げた。すると空の雲が一気に散って光が降り注いだ。黒い群は裁きの光を受けて脆くも崩れ去った。

「清浄なる光の波動を受けるがいい!シャイニング・ウェイブ!」

真藤は両手を胸の前で交差させて霊力を圧縮した。霊力が溜まったのを確認してそれを一気に放った。霊力は巨大な光の波になって敵を飲み込んだ。

「…殲滅したか…終わったようだね。帰ろうか。」

しかしそこに不意に声が響き渡った。

「流石は国連統合軍の威光を支える歴戦のプレイヤー達だ。この程度物の数ではないということか。」

「!?」

四人が振り返るとそこには質素な仮面を付けて黒いマントを羽織った男が浮かんでいた。
「何者だ…!」

「俺が何者かなどどうでも良いのではないか?敵は全て殲滅するのがお前の主義だろう?冨山崇史元帥殿…」

「な、私の名を…!?」
「しかし、これだけの数の軍団を、殲滅出来るかな?」

男はそう言いながら腰に下げていた二振りの剣の片方を抜いた。

「あれは…!?」

須山が驚愕の声をあげた。

「…降魔の剣(ごうまのつるぎ)…!?何故お前がそれを…!?」

男は剣を振り上げた。すると空一面を覆う程の悪魔が現われた。

「これは…!?」

驚愕する蓮に学園長が呟いた。

「…神器、降魔の剣…億を超える悪魔を使役出来るランクSの神器さ…しかしあれは国連統合軍中央指令室の特殊倉庫に厳重に保管されていた。」

「それが、どうしてあの男に…」

「…数週間前、その倉庫が何者かに破られた事があった…その時に、幾つかの宝物が紛失していてね。捜査を続けているが、未だに発見出来ていないのだが…まさか全て奴等の手に…」

「講義は済んだか?なら、消えて貰おうか。君達は、危険過ぎる…残念だよ…」

男は剣を振り下ろした。それに呼応して悪魔達が一斉に突撃した。
「…くっ…!?」

悪魔達が眼前にまで迫ったその時…

「そこまでにして貰おうか。」

その声と同時に四人の背後から稲妻が走った。稲妻悪魔達を一瞬で消し去った。

「お前は…」

そこには一人の金髪金眼の男が浮いていた。
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