魔天戦史
極氷剣・凍牙王
「………着いたようだな。出よう、レオン」
「…はっ……」
二人は装置のドアを開けた。
外側にはさっきまでの円筒型の装置は姿を消し、代わりに演算装置や試験管等の研究用具が並んでいる。
装置から出た二人を若い青年が出迎えた。
「ご苦労様です、緋凰元帥様、特務隊長殿」
「あぁ。高城博士はどちらに?」
「こちらです。ご案内致します」
「あぁ、頼む」
二人は青年の後について歩いた。
暫く歩いて、やがてある研究室の前で青年が足を止めた。
扉のプレートには『第二研究室』と書かれている。青年がドアをノックした。
「高城博士、緋凰元帥様と特務隊長殿をお連れ致しました」
「おう、入れ」
青年の声に応えたのはひどくぶっきらぼうな男の声だった。
青年はドアを開けた。
中には大勢の白衣の研究員とコンピュータ、それとガラス越しに巨大な実験装置が設置されていた。
三人が部屋に入った時、資料片手に指示している白衣の男が振り返った。
「……来たか、緋凰元帥」
「呼び出したのは君だろう、高城恭八博士?……完成したのか?」
「あぁ、今持って来よう」
高城博士はそう言い残して部屋から出て行った。
「……緋凰様、今の方が高城博士ですか?」
「あぁ。高城技術研究所所長にして、国連統合軍外部技術顧問の一人だ。優秀な科学者にして技術者でもある。彼によって開発された物は数知れない。国連のみならず、世界にとっても重要な人物だ」