魔天戦史
紅蓮の魔女
「……はぁッ!!」
刀に斬られて悪魔は砂の様に崩れ去った。
「…まだ、あんなに………」
「疲れたか、勇翔?」
「ユリス元帥……いえ、大丈夫です…………でも、凄い数ですよね、あれ……」
勇翔は空を見渡した。
「……あぁ………」
空には、一面に悪魔の大群が蠢いていた。その数にユリスも溜め息をついてしまう程の大群だ。
勇翔達は、突如として襲来した悪魔の大群の対処に追われていた。その余りの数に本部にいた全軍を導入しても、未だに殲滅できていなかった。本部周辺の民間人は第一師団……憲蔵達が避難させている。
もう殲滅戦が始まってから一時間は経っただろうか。それでも悪魔は減るどころかむしろ増えている気さえして来た。
「……まぁ、さして強力な悪魔はいない様だから、訓練だと思えば丁度良いだろ?」
「そ、そうですね……」
「じゃ、私は別の場所に行く。あまり無茶はするんじゃないぞ」
ユリスはそう言い残して、悪魔の大群へと突撃していった。
「………訓練か…確かに、その方が丁度良いかも……それじゃあ、行こうかな………」
と、勇翔が悪魔の大群へと突撃しようと構えたその時、突然本部ビルの一角が轟音を上げて爆発した。
「!?な、何が………」
突然の事態に呆然としていると、勇翔の携帯が着信を告げた。
「は、はい……」
「勇翔、今すぐ本部ビルに行け!!」
「憲蔵さん!?」
それは憲蔵からの電話だった。
「俺は民間人の避難でまだ動けない。だがこのままでは、堂絃が逃げてしまう。爆発したのは、恐らく監獄室だ……急げ、勇翔!状況によっては、殺してでも堂絃を逃がすな!!」
「は、はい!!」