魔天戦史


「……そうか……だが、あの方を行かせてしまって良かったのか?」


「問題無いでしょう。あの方も、何の準備もせずに来た訳ではありませんので……」



「………おい、まさか……」


ユリスは段々と嫌な予感がしてきた。

「……まぁ、見ていれば分かるでしょう……」












「くそ、さすがにこのままではマズいな……だが、到底逃げ切れる訳は無いしな……ッ、ぐ……!!」



仮面の男が色々と考えている間にも、勇翔は猛然と攻め立てて来る。


「クソッ、どうする……ッ!?」



仮面の男が一瞬呼吸した瞬間に勇翔が距離を詰めた。その余りの速度に仮面の男は完全に反応が遅れてしまった。


「!?マズい……ッ!?」


勇翔が蒼天を振りかぶった。







だが、それは仮面の男に届かず、代わりにそれを受けたのは純白に輝く盾を掲げたさっきの男性だった。



「貴方は……ッ!?」



「……君が何者かは知らないし、知るつもりもないが……ここで死ぬ気は無いのだろう?それにこのままでは、彼が壊れてしまうからな……」


男性は盾で勇翔を弾き飛ばした。


「…流石に、盾だけでは荷が重いか……やむを得ないな……」

男性は盾を持っていない右手に霊力を纏わせた。



「……来れ、ヨハネ大聖剣……ッ!!」


男性の声に合わせて、男性の右手に大振りの白銀に煌めく剣が握られていた。


「……来たまえ、坂原勇翔君。少し頭を冷やしてあげよう……」



「ガアアァッ!!」


勇翔は猛獣の様な雄叫びを上げながら男性に切り掛かった。


男性は盾で蒼天を受け止めて、剣で斬り返した。勇翔はかわせずに左腕を切り付けられた。勇翔は男性から距離を開けた。


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