魔天戦史
暫く歩いて二人は校門前に到着した。しかし校門前には人だかりが出来ていた。
「何だろ、あれ…」
「行ってみようよ。」
「うん…そうだね。」
二人は校門前の人だかりに近付いた。次第に話し声が聞こえてくるようになった。二人は近くの同じ制服を着た青年に話し掛けた。
「あの…」
青年はその声にゆっくりと振り向いて二人に目線を定めた。
「何だ?」
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ、あれか。どうもまだ開校の準備が済んで無いみたいだな。済んだらメールで配信するとよ。」
「そうなんですか。」
「あぁ。何やってんだか…暇になっちまったな…さて、どうするかな…」
青年は少し考えて二人を見た。
「…お前ら、暇か?」
「え?」
「いや、暇なら一緒にどうだ?」
そう言いながら青年は道の向こう側の喫茶店を指差した。二人は顔を見合わせて頷いた。「良いですよ。」
「私も、いいよ。」
「決まりだな。行こうぜ。」
三人は喫茶店に入って適当な席に座って注文をとった。
「そういえば…」
勇翔が先に配られた水を飲みながら言った。「まだ、お名前を聞いてませんでした。」「あぁ、そうだったな。俺の名前は師紀京介(しのりきょうすけ)だ。」「僕は坂原勇翔って言います。」
「私は冨山晶です。」
「勇翔に晶か。宜しくな。」
「はい。」
「宜しく。」
そこにさっき注文したものが運ばれて来た。「お、来たな。じゃ、食べるか。」
「はい。」
「戴きます。」
「よぉ、京介。」
そこに何人ものガラの悪い男達が集まって来た。
「はぁ…朝っぱらから締まりのねぇ奴等が来たもんだ。」
「な、何だと…ッ!」
「頭の言う事もろくに聞けねぇ奴等が、息がってんじゃねぇよ。」「黙れ!」
先頭の男が懐からナイフを取り出した。他の客がそれを見てパニックを起こした。
「へっ、覚悟しろよ京介…!」
「ち、ちょっと!赤碕さん!ここじゃマズいっすよ!」
後ろにいた男が赤碕と呼んだ男を止めようとした。
「っるせぇ!こいつは今殺んなきゃ気が収まらねぇんだよ!」
赤碕はナイフを京介に向かって突き出した。
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