魔天戦史

｢は、はぁ……｣


｢……しかし、信じられないな……君の様な子が、あんなものを封印されていたとは……｣


｢え、あの……｣


｢だが、あれは魔人化に似た現象と言える様だから、暫くしたらまた霊力が……｣


｢……な、何の話ですか……？｣


勇翔の申し訳無さそうな言葉に、公王は目を丸くした。



｢……覚えていないのかい？｣


｢……えっと……さっぱり……｣



｢……そうか……だとしたら幸いかな。あまり気分の良いものでは無いだろうしね｣


｢え、あの……｣


｢あぁ、いや……そのことは、後で師紀元帥から話されるだろう。それより、これを渡してくれと頼まれたよ｣


公王は壁に立て掛けてあった棒状の布に包まれた物を勇翔に渡した。


｢見てごらん｣


勇翔は言われるままに布を外した。それは、一本の刀だった。


｢刀……ですか？｣


｢あぁ。抜いてみなさい｣


｢……じ、じゃあ………｣


勇翔は恐る恐る刀を鞘から引き抜いた。


｢こ…れは………｣


その刀身はうっすらと青く発光し、常に冷気を発していてとても冷たい。刀身も美しく、思わず見入ってしまいそうだ。


｢凄い………｣


｢凍牙王と言うのだそうだ。特殊な刀らしく、君のお父様が開発を命じられたそうだよ｣


｢……父さん、が……ですか？｣


｢あぁ。かなり強力な刀だからね。気をつけなさい。下手をすると、自分を傷つけかねないからね｣


｢は、はぁ………｣