魔天戦史
無垢なる血の代償
「……そうか…ついに大聖母マリアの鍵を見つけたか……分かった、ありがとう。引き続き調査を続けてくれ」
アイザックは携帯を懐にしまった。アイザックの後ろには、仮面の男が立っている。
「……ついに、見つけたのか?」
「えぇ………富山元帥の子が、マリアの断片を宿しているそうです…後は、十二使徒を全て集めれば……」
「……大聖母マリアが目覚め、全ての聖霊とそれに関する存在全てが異界へと送り帰される……それが、『ヤツ』を仕留める足掛かりになる……」
「……世界の根幹を形成する三聖霊の一柱の大聖母マリアの降臨すらも、足掛かり程度にしか思っていないとは……それほど、アレは危険なのですか?」
「……お前は、知らないのか………アレが世界にもたらす災厄の規模を……かつて、アレが覚醒しかけた時は、異界の半分が焦土と化した……」
「……異界が……?貴方は、なぜそんなことを………」
「…………いろいろな……十二使徒の探索の指揮は神崎にでもやらせろ」
仮面の男は部屋から出ようとドアノブに手をかけた。
「どちらに?」
「アレの様子を見てくる。封印に綻びが出始めた……急がなくてはな…………」
仮面の男は部屋から出て行った。アイザックはその背中をただ見つめていた。
「……終末の鍵、か……ヤツは、あんなものを使って一体何をする気なんだ………」