魔天戦史


「く………一体、何が……ッ」



「……説明してあげてはどうですか、悠里さん………貴方なら、私の力を知っていらっしゃるでしょう?」



「………時空間操作よ……」



「…時空間、操作……?」



「彼の聖霊、ルシファーの力よ。時と空間を支配し、改変する……だけど、それは世界の理に反する力……だから、常に世界の理からの圧力を受ける……持続時間は短いし、効果も限定的な物だけど、その力は絶大よ…さっきのは、この周辺一帯の空間を切り取り、時間を停止させたの………だから、姿を見る前に切られていたのよ」



「……時間を停止させる…そんなことが………」



「それが、王印を持つ聖霊の力よ……」











「……タフだな…流石は魔神か………」



仮面の男はゆっくりと剣を構えて勇翔を見据えた。勇翔はボロボロになっていたが、まだ剣の炎は燃え尽きてはいない。



「……やむを得んな……」



仮面の男は剣を鞘にしまって、居合いの構えをとった。


「……ヴォォッ!!」



勇翔は焔剣を振り翳して仮面の男に切り掛かった。


「……ハァッ!!」



仮面の男が放った居合いは、焔剣をかき消し、勇翔の腰から肩に深い一撃を刻み付けた。


「グ、オ……」


勇翔は力無く倒れて、下に落ちた。



「…とどめだ……!?」


落ちる勇翔にとどめを差そうとした仮面の男は、不意に霊気を感じ取ってその方向を見た。

すると、その方向から、炎を纏った天使が飛んで来て、落ちていく勇翔を捕まえて、そのままどこかへと飛び去ってしまった。


「炎の天使……須山か…やってくれる……潮時か…アイザック、退くぞ!!」


二人はそれで姿を消した。






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