魔天戦史
「えぇ。わざわざお越し戴いて、ありがとうございました。治癒術が扱える者は、生憎と出払っておりまして……」
「………大佐!?」
「うお!?なんだ、勇翔……京介や蓮から聞いていないのか?」
「聞いてませんよ………軍人だったんですか?」
「あぁ……あの学園の職員は、全員軍関係者なんだぞ?」
「……そうなんですか……」
「……では、アイリス元帥はこちらへ。勇翔はまだ寝てろ、いいな?」
「あ…はい……」
二人は勇翔を残して医務室から出て、応接室にやって来た。アイリスが座ってから須山が向かいの椅子に座って、話を始めた。
「……勇翔は、大丈夫でしょうか……?」
「……難しいですね…何があったのかは存じませんが、酷く霊力を消耗しています……その枯渇に、回復力が追い付いていない様です……このままでは、前線に復帰するのは………」
「………そう…ですか………」
「……手があるとすれば、ただ一つ…『光翔剣』を探すしか無いでしょう……」
「……光翔剣………?」
「その昔、初代大元帥が携えていた剣だそうです。その刃は持つ者によって形を変え、主が望むもののみを断ち切るといいます……その切れ味から、銘刀六工と呼ばれる、世界最強の剣の一振りに数えられている銘刀だそうです」
「銘刀六工……"哭龍"、"白浪"、"紅焔"、"破魔夜叉丸"、"零天戒"……そして、"光翔剣"………」
「その刃には、持つ者の霊力を研ぎ澄ませる力が備わっているそうです……それがあれば、彼の霊力を回復させることも可能でしょう……しかし…どこにあるのかは、私も存じてはおりません………」