魔天戦史




「……それがどうかしたか?テメェには何の関係もねぇだろう」



「……つれないなぁ……教えるくらいしても、罰は当たらないんじゃない?」



「……蛇なんぞに教えてやるいわれはねぇな…」



「……ふーん…そんなこと言っちゃうのかぁ………」



「……儂を殺すか?神の毒の力で……?」



縣犂はゆっくりと立ち上がりながら、振り返った。


その眼光は、ただの鍛冶師のものでは到底無かった。



「………やれるもんならな…」



その瞬間、縣犂の全身から、蒼い霊気が立ち上ぼった。その霊気は一瞬で室内を満たし、強風を巻き起こした。


「……流石は、元元帥ってことかな?……だけど………」



カリアがそう言った瞬間、カリアの全身から紅い禍々しい霊気が立ち上ぼった。その霊気は部屋の半分を満たし、縣犂の霊気と衝突した。



「………あまり、僕を嘗めないで欲しいなぁ…」


二人は互いに鋭い目付きで睨み合っていたが、やがてどちらとも無く霊気を納めた。



「……まぁ、貴方が根っからの頑固者なのは、知ってるからね……今は、まぁ良いですよ………じゃあ、せめて長生きして下さいよ」


「……テメェは、何の為にこんなまねを………」




「……僕は、ただ人間を愛してるだけさ………」



カリアはそう告げて、部屋から出て行った。縣犂はようやく、人が居なくなった部屋で仕事に取り掛かった。





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