魔天戦史



「…俺は、お前達と戦う意思は無い」



「…何ですって……?」



「……俺は、ある存在を封印する為にこの郷に来ただけだ」



「…ある存在……?」




アイリスが訝しげに聞き返したその時、勇翔がいる筈の洞窟から、火柱が吹き上がった。だが、その火柱は…黒い炎の火柱だった。



「…なんだ、あれは……?」



「……来たか…」


仮面の男がそう呟くと、火柱の中から、何かが火柱を突き破ってこちらへ向かって来た。仮面の男が三人の前に出てそれを剣で受け止めた。



「……やはり、こうなったか……ッ!!」



仮面の男がそれを弾き飛ばしたが、あっさりと空中で体勢を立て直して着地した。そこでようやく、他の三人もしっかりとそれを見た。




「………勇翔君…?」



それは、漆黒の霊気に身を包んだ勇翔だった。右手には剣を、頭には、漆黒の茨の冠を被っている。



「……世界を支える三聖霊……『破壊』の『シヴァ』か……厄介なやつに目覚めたものだ……」



「……どういうことなの……?勇翔君は、一体……」



「………あまり詳しく語っている時間は無い……三人とも、俺の指揮下に入れ」



仮面の男の突然の提案に、三人は唖然として言葉が出なかった。だが、そこへ勇翔の魔法が飛んで来た。四人はジャンプでかわして、赤い竜の足下に着地した。


「……そんな話、受けられると思ってるの……?」



「ならば、ここで屍を晒したいか?」



「……仕方ないわね…」


「ならば、慎んで俺の指揮下に入るんだな……初代紫閃大隊大隊長、剣帝『坂原斗耶』の戦い方を教えてやる………」


四人はそれぞれの武器を手に、勇翔に攻撃をしかけた。




< 270 / 304 >

この作品をシェア

pagetop